【とにかく子どもの面倒をよく見る、大倉山藍田学舎学長からのメッセージ】『公立高校と私立高校のどちらにいくべきか? ② 』
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私立が名門化する背景
名門私立校は「名門」と呼ばれる様になる過程で、
「合格率の上がる万民受けの良い教育をしてきたから今のような人気校になったのではないか?」
「優れた教育内容だからこそ優秀な生徒を集められるようになったのではないか? 」
そのように思う人達もいるでしょう。
しかし私の考えは少し違います。
少し時代を遡って考えてみると、かつて1960年台半ばまでは全国的に公立高校が優秀な時代が続きました。
東京や神奈川では、都立日比谷高校や湘南高校などの都立・県立が大学進学でも圧倒的な数字を残していました。
いわば「日比谷・湘南高校→東大」という構図がエリートの「王道」とされていました。
しかし東京都では「学校の序列化」を緩和するためと称して、都立入試に学校群制度を導入し過度の受験競争にストップをかけたのです。
学校群制度についてはここでの詳しい話は省きますが、要するに受験生は複数の学校がひとつにまとめられたグループを選び出願し、合格者はグループ内の学校に振り分けられるという制度です。
こういったことにより、都立高人気に歯止めがかかりました。
そして、それまでは都立のすべり止め扱いだった私立が脚光を浴び始めます。
現在は大学進学などで名門とされる私立高校の多くはこの時期に躍進していきました。
ちょうど1970年代に入ると、力をつけてきた塾・予備校などとこれらの私立がタッグを組み、業者テストの立ち位置を操作し、巧みな広報戦略で生徒集めに拍車をかけて行きます。
ベビーブームも相まって受験戦争のような表現とともに、お受験・中学受験と熱はさらに加速して行きます。
大学附属を除いて大学合格の実績を上げてきたこれら名門私立の多くが、「優秀な生徒」の確保を塾や予備校と半ば協力するかのように行っていきます。そして、 教育内容より、むしろ「塾」を味方につける戦略と巧みな広報活動によって名門校にのし上がったといえるでしょう。
私立が有利とは断言できない
つまり、大学進学実績の良さは公立私立を問わず教育内容の成果ではなく、入試の段階で優秀な生徒が集っているからという事は避けられない事実です。
特に優秀な生徒の殆どは意識が高いため早くから予備校・塾に通っており、学校のカリキュラムに関係なく勝手に受験準備をしているからということです。
意外に思うかもしれませんが、公立私立問わず、また偏差値の高い低いにかかわらず先生の授業レベルに大差はありません。
高校に大学合格の指導力があると思うのは幻想です。
勿論、伝統が構築する効率の良く素晴らしいテキストやカリキュラムは持ち合わせています。
しかし東大など超難関大学を除けば、GMARCHなど有名大学の合格率は、公立校の方が名門私立よりも高かったりもします。
東大合格者についても、地方に行けば地元の公立名門校の方が私立高校を上回っている例は沢山あります。
「私立へ行きさえすれば大学進学に有利である」は絶対的な常識ではないということです。
「私立だから大学は大丈夫だろう」とか「公立だから不利だ」と思うことに意味はない、ということを改めて認識して欲しいと思います。
『公立高校と私立高校のどちらにいくべきか? ③ 』に続く
大倉山藍田学舎 学長 小野修一郎