【とにかく子どもの面倒をよく見る、大倉山藍田学舎学長からのメッセージ】『受験について必要な能力を考える【2】』
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『受験について必要な能力を考える【1】』
受験は『情報力』の勝負
前回のブログでは「2種類の能力」と「偏差値」を書いてきました。
今回のブログでは「受験とは何なのか」「受験後に停滞しないための方法」について書いていきたいと思います。
結論からいうと受験は『情報力の勝負』です。
適切な情報を手にしている人達にとって、大きな意味では「偏差値」は特に意味を持ちません。
情報を手にしていない多数の人にとって「偏差値」は越えがたい壁となってしまいます。
では「情報を得るために、入試に出る内容を勉強する」ということは「本質をしっかり捉えていないと非常に危険なこと」であるように思います。また「受験勉強が偏っている」と言うのは簡単なことですが、どのような基準でそのように思うのでしょうか?
実際に、中学・高校に入学すれば受験勉強を遥かに凌ぐハードなカリキュラムが待っています。
受験勉強は中学や高校での学問(特に基礎の部分)に近いものです。中学や高校での洗練された学問が「理想」であり「きちんとした勉強」であるならば、受験勉強こそ格調高い学問に触れる絶好のそして唯一の機会です。
「受験勉強=その学校の傾向として出題される可能性の高い問題の対策(表面的な勉強)」ではなく、
「受験勉強=その学校の傾向として重視されている基礎・能力を基にした問題の対策(本質的な勉強)」なのではないでしょうか?
ところで、高校3年生の4月までは志望校の判定がA判定であっても20%もの人達が不合格になるのはなぜでしょうか?
何故でしょうか?理由はとても簡単です。
『自己流の勉強の仕方とペースが身に付いてしまったから』です。
それがたまたま高校2年生までは通用してしまい、多くの人が受験勉強を本格的に始める高校3年生になっても、そのペースで勉強していたからです。
本質を捉えていない勉強を何年も行うのは、まさに不幸と言うほかありません。
目的に向かって学ばなければならない時に全力が出せるはずがありません。
受験後、停滞しない為に。
受験が子供達に好ましくない形で影響を残してしまうことがあります。
特に中学入学後に勉強が停滞する子が一定数いますが、ここで対処を誤るとかなり危険です。
中学から高校にかけての基礎を形成する時期にチャンスを逃してしまい、小学生的な「単なるパターン的な表層的で浅薄な思考回路」のまま留まってしまう可能性があるからです。
影響を残してしまう主なケースは下記の5パターンです。
①:中学受験勉強の過程で塾の進度についていけずに、頭が混乱してしまったまま中学に入学してしまう場合。
②:塾で下位にいた経験や、不合格体験が大きく自信を打ち砕き、その後のやる気をなくしてしまう。
③:あまり苦労をせずに中学に受かったため、その後の勉強の質が上がってこない。
④:「中学に入ればあとは楽ができる」と叩き込まれて勉強してきた為。
自由時間の作り方に偏りが生じ、部活や友達付き合いを口実に勉強時間の確保が出来ない。
⑤:中学入学後、レベルの高い塾や一貫校で強引なカリキュラムに直面し、マニアックな問題や高校範囲の内容を課されて混乱してしまう。
現実問題として①~⑤のような状況が、多くの中学受験経験者にみられます。
従って,受験後の対応も非常に重要です。
①のパターンは学術的な面で混乱しただけであれば、中学で教科書レベルからきちんと勉強すれば解決できるでしょう。中学受験の勉強と中学以降の勉強は別物です。
②のような精神的状況を伴う場合には、一刻も早く成功体験を作る必要があります。そのためには今いる中学で上位の成績を取るのが最も改善効果が高くなります。
ところが多くの場合、高校受験での挽回や大学受験を意識していきなり難しい内容に取り組み⑤の状態に陥ってしまいます。
この場合、下手すると基本事項に穴が空き、公立中学での期末試験でさえも上位に食い込めなくなるおそれがあります。あとは自信喪失と成績低迷の悪循環が待っています。どんな環境であれ、「下位にいる」というのは子供にとってたいへんなストレスになるのです。
また志望校に合格した場合、③・④のようにならないように気をつけましょう。
特に受験前に必ず「入学後もそれなりに勉強する必要がある」ことを念頭に置かなければなりません。
『志望校に入学する=ゴール」ではないのです。
そういったことを踏まえて、中学入学前に留意しなければならないのは『挫折感を極度に植え付けないようすること』なのです。
特に受験は短期的な計画(中学受験だけ、高校受験だけ)ではなく、先を見据えた長期的な計画(中学受験→高校受験→大学受験)を綿密に立てる必要があります。
その上でまず中学校入学が大きな分かれ道となります。
「有名一貫校(俗に言う進学校)」に入学した場合と「公立中学校」に入学した場合ではカリキュラム・進度・進学方法も異なることになるからです。
では、実際どのように変わってくるのでしょうか?
「受験について必要な能力を考える【3】」に続く
大倉山藍田学舎 学長 小野修一郎