【とにかく子どもの面倒をよく見る、大倉山藍田学舎学長からのメッセージ】『 受験直前期の整理と心構え ③ 』

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『 受験直前期の整理と心構え ① 』

『 受験直前期の整理と心構え ② 』

様々な選択肢を考える

様々な状況が考えられますが、センター試験で失敗した場合、気持ちを切り替えるというよりも大幅に戦略を練り直さないといけません。選択肢を書いて整理してみます。

①:予定通りの大学に出願する。(浪人覚悟)
②:ランクをかなり下げて、とにかく地方でも国公立大にこだわり出願する。(浪人覚悟)
③:国公立大を諦めて私立大にしぼる。(浪人回避)
④:私立の滑り止めの学校のレベルも下げて出願する。(浪人回避)

上記した4つが今後の選択肢となるでしょう。
家庭の経済状況にも関わる問題ですから、自分の考えをしっかりと固めてから保護者の方と相談して慎重に決めて欲しいと思います。

直前期の精神面について

さて、次に直前の精神的な面に関して考えてみたいと思います。
試験前になると「手が回ってない範囲から出題されたらどうしよう」「ド忘れしたらどうしよう」「この試験で失敗したら浪人だ」などと次から次へと様々な心配が頭に浮かんできます。
勉強が手に着かず食事はのどを通らず夜も眠れない……というような人もいるかもしれません。
そういった不安を感じやすく緊張する場面に弱い「本番で実力を発揮できない」タイプの人は、試験直前にその不安な気持ちを紙に書き出すことで、不安が解消され成績が向上するという不安解消のテクニックがあるそうなので是非参考にしてみて下さい。

心理学者Sian L. Beilock博士等の行った実験により、試験に関する不安を試験直前に10分間の時間を作り紙に書き出すことにより、成績が向上することが明らかになっているようです。
Beilock博士等によると、試験で問題を解く際に使える「ワーキングメモリ」(読んだばかりの設問を覚えたり、計算途中の式や数字を覚えたりする短期記憶)は限られていて、試験に関する不安を感じていると、そのワーキングメモリが心配事だけで手一杯になってしまうそうです。
試験前にあらかじめ不安を書き出すことで、問題を解くことに使えるワーキングメモリが増えるという理論です。

以下にBeilock教授らの行った対照実験を記載します。
Beilock教授らはまず、大学生の被験者20名に2セットの数学のテストを受けてもらい、1回目のテストでは単純に「ベストを尽くすように」と指示したのみ、2回目のテストの前には「成績優秀者には賞金が出る」「成績が悪ければ連帯責任としてチームの他のメンバー達にも迷惑がかかる」「試験の様子はビデオ撮影され、数学の教官に見られる」といった「プレッシャー」をかけてテストを行いました。
そしてこの2回目のテストの前に、半数の学生は10分間「試験に関する不安」を紙に書きつづってもらい、対照群は10分間静かに座ってもらったそうです。
その結果、試験直前に静かに座っていたグループでは、2回目の「プレッシャーのかかった」テストは1回目のテストと比べ正答率が12%下がったのに対し、試験前に不安を書き出したグループでは2回目のテストの方が1回目のテストより5%正答率が向上したとのことです。
また、別の実験では「紙に何かを書く行為」に緊張を和らげる効果があるのではなく、特に「試験に対する不安について書くこと」に効果があると示されたそうです。
また、Beilock教授らの研究では次に、期末試験(生物)を受ける高校生を対象に実験を行いました。
生徒達には期末試験の6週間前にアンケートに答えてもらい「テストに対する不安の感じやすさ」を評価したそうです。
そして、生物の期末テストの直前に、席についた生徒達に「テストについての気持ちを書く」または「テストに関係ないトピックについて考える」よう指示したところ、テストについて書いた生徒達の方が高い成績をおさめ、特に「不安を感じやすい」タイプの生徒達は、テストについての不安を書いたグループの成績の平均で明らかな差がついたそうです。

Beilock教授は、試験に対する不安を感じやすく「本番で実力が出せない」タイプの人は、特に教師や試験監督からの指示がなくても、試験前に自分で時間をとってノートなどに不安な気持ちを書き出すことで、パフォーマンスを向上させることができるだろうと述べています。
私自身試したことがないのですが、もしこういった些細なことで成績が少しでも向上するならとてもラッキーですから是非試すべきではないでしょうか?

『 受験直前期の整理と心構え ④ 』に続く

大倉山藍田学舎 小野修一郎